開発日記

開発日記Vol.2
「 キューティクルの機能をワックスリングで実現 」

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ワックスリング

ヘアカラーの褪色ってどんなことが起きているのか

傷んで乾燥してパサパサになった、黄みのブラウンに褪色した髪は本当に色を失っているのか。
褪色した髪を洗うと、傷んでいるせいで指どおりが悪いとか、ざらざらするとか、吸水して“しなっと”なってしまうなどを感じますが、意外にも染めた色が少し残っていることがあります。そのまま潤いを逃がさない程度に乾燥させたときは、色は引き続き感じます。褪色は色を失うことと、色が見えにくくなっていることの合算で感じていることなのです。だから、キューティクルの機能を回復すれば、ずいぶん見え方が変わることが予想されます。

油脂の被膜は使えないか

毛髪内の巣分を逃さないために、手近なところで、油をうまく使えないか?
以前から、ヘアオイルは沢山塗って、シャンプーで軽く落とすと髪がしなやかになることを経験していたので、褪色した髪で試してみると、ドライヤーで乾燥させた時も濡れているときの色が残ります。
シャンプーで洗ってしますとオイルが落ちてしまいそうですが、たいがいの場合ごく薄くオイルが薄膜として残ります。だから、コンディショナーがよく効きます。
ツヤとしなやかさやハリが良い仕上がりになります。

酸性カラーで起きること

酸性カラーを塗布した髪にヘアアイロン(90-120℃)を当てると、色が深くなり褪色しにくくなることを前職のときに、いろいろなところでご紹介してきました。その断面を顕微鏡で見ると、通常の酸性カラーとは違って、キューティクルの内側、コルテックスの外側にまで浸透しているのが分かります。

上の二つを組み合わせて、うまくいかないか

酸性カラーを塗布して、上から油を載せてそれを90℃のアイロンで水気をとばす処理をすると色が深く入って、手触りも長持ちするとか起きないか?
ということで、実施してみるとツヤ手触り、しなやかさに優れた仕上がりで1か月以上、色がきれいなままでいられることが分かりました。手触りは通常のホームケアのヘアケア剤を使って1週間は良い状態のままです。

しなやかやハリを維持したまま、手触りをもっと長持ちさせられないか?

油を撥水性の高いワックスに変えてみてはどうか。どうせなら最高級のカルナウバワックスを使って試してみる。
すると、撥水性が格段に向上したのと、持ちがよくなりました。
油も併用して使いやすくしてみよう。ということで、皮脂の構成に近づけて酸化されにくい物を作ってカルナウバワックスと合わせてみた。(Soft Lineと名付けました)髪へのなじみが良くなり、さらにさっぱりした使用感になる。

このペーストのしていることは何か?

通常の酸性カラーを髪に施術して、表面に色素を吸着させ一度乾かします。
断面を観察すると表面だけに吸着していることがよくわかります。
この髪を少し湿らせて(生乾き程度)、皮脂のまねっこ油とカルナウバワックスで作ったペーストを薄くぬり、90℃のアイロンをゆっくり滑らせてから、シャンプーリンスで仕上げると、手触り、ツヤ、しなやかさに優れた仕上がりになりました。毛髪断面を顕微鏡で見ると色素帯ができ表面から、キューティクルの内側にまで色素が分布しています。染まった後の色素を毛髪内に移動させたことになりますが、ペーストしかその仕事はできない状態ですのでペーストがアイロンの熱で液状になり、毛髪内にしみ込んだと考えられます。
このペーストは90℃のアイロン上では液状に溶けていますが、アイロンから外れるとすぐにワックスとオイルに分離しワックスの塊が出てきます。

したがって、ペーストの溶けたものは毛髪内に色素を運ぶ=色素のすぐ後まで浸透してアイロンが外れたらすぐに毛髪内で固形になっていると想像されます。
即ち、色素のすぐ外で固まっているので、断面での見え方(実際には見えませんが)ではリング状に髪の内側に配置されたことになります。
このようにしてできた(と思われる)ワックスの層をワックスリングと名付けました。

温度の条件

ケラチンフィルムという素材を使って、高温での保存をすると120℃までは変化はないが、140℃だと少しずつ変色して褐色になります。
90℃での作業ですが、上限は120℃としてアイロンの操作温度を設定します。
また、オイルを髪になじませるには60℃で十分の効果を発揮します。
いろいろと試してみた結果、オイルは60℃、ワックスリングは90℃、酸性カラーを入れるには120℃が効果的です。